SHELモデル
SHEL/SHELL(シェル)モデル/分析とは人間の行動は4つの要因から決定されると想定し、そこで起こりえる問題を分析する方法です。医療分野では患者(Patient)、管理(Management)を4要因(Lを分ける場合は5要因)にくわえたP-mSHELモデルが使用されることが多いようです。
当事者(L)を中心とし、個人の能力や限界が状況によって変化することを知り、その変化に沿うように4つの要因と当事者自身の対応を考えるというモデルです。
SHELモデルは、アクシデント、インシデントが起きてしまった背景をより効果的に分析するために利用するものであり、個人の責任を問うことに焦点を当てたものではありません。この事をよく念頭において分析を進めて行く事が必要であり、個人に対してのみの責任を多く追求するような環境の場合、その職場環境もSHELモデルにおいての環境(E)、人(L)に含まれるべきでしょう。
<SHELモデル要因>
●Software(ソフトウェア)
システムの運用に関わる形にならないもの
例)マニュアル、規則、規定、法律、習慣、暗黙の了解
●Hardware(ハードウェア)
機械、器具、施設、設備など変更のきかないもの
例)作業台、病棟構造、ベット、医療材料
●Environment(環境)
物理的、経済的、政治的、社会側面など間接的に個人のパフォーマンスに影響を及ぼすもの
例)労働条件、勤務時間、業務状況、職場の雰囲気、照明、保管場所
●Liveware (他人)
当事者以外の人々
例)イベントに関わった他のスタッフの状況(心身状態、経験、職種、技術、コミュニケーションスキル、協調性)、患者、家族の誘因(心身状態、年齢、疾患、障害、薬剤の影響)
●Liveware (当事者)
イベントに関わった本人
例)心身状態、経験、心理的要因、技術的問題、コミュニケーションスキル、協調性
■参考図書&文献
1) Assessing Risk in Healthcare Collaborative Settings,Bandeira (2011)
2)医療におけるヒューマンエラー 第2版: なぜ間違える どう防ぐ [単行本] 河野龍太郎(著)
3)5日間で学ぶ医療安全超入門 日本医療マネジメント学会(監修)
4) 組織でとりくむ医療事故防止―看護管理者のためのリスクマネジメントガイドライン (社) 日本看護協会
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