インシデント管理
インシデント(incident)とは、サービスの中断や品質の低下につながるイベントの事です。
ハインリッヒの労働災害の法則によると、1件の重大事故の背景には、29件の同種のクレームや軽症事故、300件の同種のヒヤリ、ハットのインシデントが存在すると言われます。これにより多くのインシデントの積み重ねが重大な事故の陰にあることが想定できます。
病院におけるインシデント管理では、病院内でのヒヤリ、ハットや事故をデータとしてまとめ、医療者間で共有することによって、医療事故を未然に防ぐことを目的としています。
レポートに基づき迅速なマニュアル等の見直し、修正が必要になる事例もあるでしょう。
インシデント管理をするためには当然レポートの提出が必須となりますが、病院によってはレポートの収集に苦労している所も多いようです。
インシデントレポート=始末書という捉え方をしているようでは書く方も億劫になり、「未然に防いだから書かなくても良い?」と言う考えにつながるのも納得です。
インシデントレポートを書く目的は「ヒヤリ、ハット事例」や「起きてしまった事故」を分析することが目的であって、個人の責任、能力を問うものではないと言うことを明確にし、スタッフ一同でそういった職場の環境作りを行うことも必要でしょう。
インシデントレポート作成が新人ナースの離職事由の上位にも上がっているようですから、管理者としては注意して管理したい一面ですね。
■参考文献
1) 人は誰でも間違える―より安全な医療システムを目指して [単行本] 米国医療の質委員会医学研究所 (著), 医学ジャーナリスト協会 (翻訳)
2) 写真でわかる看護安全管理―事故・インシデントの背景要因の分析と対策 村上美好?(著)
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